米雇用統計と欧州金融緩和

アメリカでは金利やインフレ予測が盛り上がってきています。
こうした期待感は通貨価格に反映されており、ミス・USドルはFXダンスフロア上でどの通貨ペアに対しても上昇を見せています。
このドル高によってアメリカ経済が現在直面している問題は製造業における圧力で、他国への輸出が割高になる一方で海外製の似たような輸入品が非常にお手頃なお値段となっています。
ある段階でこのジレンマは労働市場に還元されることになるでしょう。
(※NFP発表部分を除き、記事は米雇用統計発表前に書かれたものです。)

– NFP(非農業部門雇用者数)発表 –

雇用者数は24万人の予想を大幅に上回る29.5万人の増加となりました。
2月の失業率は5.6%の予想を下回り5.5%、このためドルはFXダンスフロアで大きな上昇を見せています。

米雇用統計の見どころ

FRBのストレステストの結果、アメリカの主要な銀行はすべてもっとも厳しいファイナンシャル基準に耐えうること、ほぼ平常通りの営業を行っていることを明らかにしたため、米銀行は今日投資家にとって魅力的なターゲットになる可能性があります。
このニュースは銀行が配当金を増やすことを可能にし、市場からいくらか株式を買い戻すことさえ始めるでしょう。

ワシントンでは雪を払いつつ労働局が月間労働レポートを金曜日の午前8:30に発表することになりました。
既に先月の数字を上回るのは少々ハードルが高く、また悪天候やウェスト・コースト港の労働運動による混乱などが更に労働市場に影を落としています。

*大雪のために政府は金曜日の始業時間を2時間遅らせることになりました。
労働局はウェブサイト上で午前8:30、または近い時間になるべく早くデータをアップすると述べています。

NFP(非農業部門雇用者数発表)とは?

NFPって何?という方のために、簡単にですがなぜNFPがここまで重要なものなのかをご説明したいと思います。
Non-Farm Payrolls(NFP)は日本語では非農業部門雇用者数と訳され、アメリカにおけるある期間中にどれほどの雇用が増減したかの変化を表す数値です。
これはアメリカの労働市場の状況を表すのにとてもよい指標で、同時に失業率は失業中の労働者数の割合を示します。このため、失業率は低いほうが経済にとってはいいといえます。

先月のNFP事情

アメリカ経済は過去五ヶ月連続で上々の雇用統計を叩きだしてきました。
NFP数値もコンスタントに市場の予想を上回り続け、ついには記録的な低失業率を達成、1月には25.7万の雇用増加が見られ、更には前月の数値にも上方修正が入りました。
その他の基礎データは更なる改善が続くであろうことが示唆されており、例えば市場参加率はより多くのアメリカ人が就職・転職のために労働市場に戻ってきていることを示しています。

賃金上昇もまた安定しており、平均時給は1月に0.5%の上昇をみせました。
このため労働力セクターにおける上昇モメンタムは賃金の上昇という形になって現れていることが確認され、求人数も最高記録レベルに達しています。

しかしながらFRBは引き続き雇用部門における健全性を測る各指標を注意深く観察しています。
雇用全体は改善したにも関わらず、例えば不景気を示す不完全雇用率や長期失業率などは未だ高止まりのままです。

「不完全雇用率(Underemployment rate)」または通称U-6は1月の時点で11.3%であり、前回の景気後退時における4年間の平均が8.8%であったことを考えると未だにアメリカ経済の汚点となっています。
この不完全雇用率とは正規雇用を希望しているにも関わらずパートタイムで就業している労働者なども含む広義の失業率を表します。

2月発表分への期待

2月の雇用統計は前月の25.7万増加から若干低めの24.1万の雇用が見込まれており、失業率は5.7%から5.6%への下落が見込まれています。
平均時給は0.2%の上昇にとどまるであろうとの見立てです。

ただし事前発表に関わらず、FX市場の参加者は更なる上昇に備えて気を引き締めているようです。
アメリカ経済が過去一年の平均である25.9万の増加数を下回るようなNFP数値を出すとは考えにくいためです。

USドルの反応は?

前回のNFP発表に基づくと、予想値よりも高いデータが出た場合は典型的に上昇が見られるでしょう。逆に低い数値が出た場合は売りになります。
それ以上に、労働市場が上昇トレンドの場合FRBが金利を引き上げるか、最低でも金融引締めを考える先行指標となるでしょう。

現在のところ、FRBの政策担当者は既に雇用における改善を認めていますが、この景気回復が持続可能なものかどうかを見極めるためもう少し待っているようです。
更にもう一ヶ月分、予想値を上回るデータが出揃えばおそらくFOMCもタカ派的なスタンスをとるのに十分でしょう。
そうなれば米ドルにさらなる上昇の波が訪れると考えられます。

欧州新QEプログラムがユーロとEU株に与える影響

海を越えてヨーロッパでは、昨日ECBがQEプログラムについての詳細を発表しました。
ECBは今回のプログラムを単なる金融緩和(QE)と位置づけるつもりはないようで、公的部門証券買入プログラム(Public Sector Purchase Programme)、またはPSPP(PSPプログラム)と名付け世界の関心を呼びました。
このプログラムのため月曜日から各国中央銀行は自国の政府債を買入れられるようになり、購入額合計の20%のみがリスクとしてEUで共有され、残りの80%はそのまま各国中央銀行の判断責任となります。
PSPP自体は18ヶ月に及ぶプログラムとなる予定です。

予想通り欧州株式市場はECB発表のために上昇を見せ、週末に向けて記録的レベルでの引けが見せられるかどうかのチャンスとなりました。

FXダンスフロアではユーロが続落しており、多くのアナリストはもはやUSドルとのパリティが問題だと述べるに至っています。
去年20%の通貨価値を落としたユーロは既に多くの国際競争力を貯めこんでおり、ヨーロッパにとっては更なる通貨安が全体としては望ましいと考えられています。

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