ギリシャの脱退(Grexit) 近づくリミット

ギリシャの脱退(Grexit) 近づくリミット

ニューヨーカーをはじめ東海岸の人々が雪にうんざりしている中、海を超えたEUではギリシャが同じように続く試練にさらされています。
双方とも必要であればさらなるネゴシエーションに喜んで応じようといっているにもかかわらず、財政援助に関する同意を取り付けるに至っていません。
ギリシャとその周辺では何が起こっているのでしょうか?

タイムリミットは金曜日

ユーログループ議長のJeroen Dijsselbloem氏は、ギリシャが正式に支払いの延期を申し出るならば今週の金曜日までと言っています。
彼は長期的な解決策を交渉する一方、そうしてギリシャ自身がファイナンスを続けることがギリシャにとって一番だと考えています。
ただ問題は期限の延長は実際なんの解決にもなっておらず、現状維持ではSyrizaが選挙に勝利した意味が全くなくなってしまいます。

カウントダウンは始まっている

ギリシャの銀行にもまたタイムリミットが迫っています。
JPモルガンの計算では、ギリシャの銀行は現在の週20億ユーロ相当の現金引き出しを考えると後たった14週間ほどで担保が枯渇してしまいます。
期限があまりないため、もし現実にそうなった場合、銀行が通常業務を遂行するのに支障をきたさないようある種の資産管理が行われる可能性が高いです。

ポルトガル勢の不安

もしギリシャがヨーロッパから何らかの温情を受けるなり、もしくはユーロ圏を去るなりすると、今度はポルトガルがヨーロッパの中で最低の返済実績を誇る経済最弱国になってしまいます。
リスボンで抗議活動が見られるようになるのもそれほど先のことではないでしょう。
すでに何人ものポルトガルの政治家や経済人が公開レターを政府のリーダーたちに出し、ギリシャへの「結束と理解を」示し、「ユーロ圏の仲間への屈辱」に加担することのないようにと嘆願しています。

Grexitはそれほどの悲劇ではない?

ドイツに拠点をおくAllianzのチーフ経済アドバイザーであるMohamed El-Erian氏は火曜日、CNBCに対して、ギリシャのユーロ圏からの離脱は「短期的な混乱」を招くが、世界経済への波及はそれほどではないであろうと語っています。
氏は短期的な損失や多くのボラティリティはもちろんあるでしょうが、すでにヨーロッパがGrexitに対して多くの先導をしているため、それほどの大惨事にはならないであろうと考えています。

しかしそれでもなおユーロ圏は現在多くの圧力下に置かれており、これがユーロがFXチャート上でごく僅少の動きにとどまっている理由でもあるでしょう。
ギリシャとユーロは金曜日までに次のステージに扉を開くのでしょうか?

その他世界では

アジア市場では中国の1月の住宅価格が5.1%下落下にもかかわらず、若干持ち直しました。
この表面的な楽観視はおそらく明日から始まる中国の旧正月(春節祭)のためもあるでしょう。

オーストラリアでは中央銀行による金利切り下げを決定した前回会議の議事録が公表されました。
特に驚くほどのことはなく、切り下げの決定は経済見通しが悪化しているため成された模様です。
しかしながら決定は四半期決算の結果を待つため一月延期されました。
決算結果は金利引き下げの発表3日後に公表され、中央銀行の意思決定の説明に用いられました。
RBAは未だ豪ドル安を支持しており、9月に比べて15%も下落したものの引き続き過大評価であると多くのコメントを残すとともに、通貨安のお陰で豪州経済が再びバランスを取り戻すことが可能になると希望しています。

今日はイギリスのインフレ発表、ドイツのZEW指標、アメリカからはエンパイア製造業調査が発表されます。
またヨーロッパ各国の財務相や中央銀行関係者がギリシャの状況についてコメントを出す可能性もあります。
これに関しては何らかの解決策が出されない限り、市場のリスクセンチメントを占め続けることになるでしょう。