スイス国立銀行はEUR/CHF=1.20のペッグを終了すると発表しマーケットを驚愕させました。
多くのトレーダーは今回のショックで巨額の損失または利益を出し、いくつかの企業は破産に追い込まれました。私自身はEUR/USDの売りトレードで利益をあげられましたが、1.20のポイントで自動的に買いポジションをセットしていたので、同様に損失も出してしまいました。ストップオーダーを入れていたことだけは幸いでした。
今回のスイスフランショックについて知っておいたほうがいい4つのことをお伝えします。
1.EUの金融緩和がほぼ確実視
今回の発表がマーケットに衝撃を与えた一方、今やほぼ確実視されている1月22日のECB会議で明らかになるであろうQEプログラムのことを考えると今回の措置はSNBにとってまっとうな行動であるとも言えます。
もし1.20のユーロスイスフラン最低交換レートを守ろうとしたならば、ECBによる大規模な政府債の買い入れはSNBに非常に大きな圧力を与えることになります。
欧州司法裁判所がECBのOMTプログラムについて昨日出したアドバイスに従えば広く予想されているQEプログラムの合法性の承認は不可欠であり、SNBは交換レートに介入することが「もはや正当化されない」と考えています。
2- 1.20ラインは消滅
EUR/USDは長い間1.20より上で遷移するよう調整されてきました。
それ故に私も含め多くのトレーダーは自動的に1.20のレベルから買いの注文を出すようにセットしていたのであり、スイスはこの介入を死守すると確信していたのです。
なんともショックなことでしたが、考えてみれば、自身の資産を守るという点で、スイスは確かにどのようにFX界を動かすべきか知っていたのです。
2011年の9月、ユーロ危機は当時ヨーロッパ圏の比較的安全な通貨としてスイスフランへの強い需要を喚起しました。
そこから過去数年間、すでに中央銀行が介入してしかるべきレベルにまで高くなりすぎているとの批判が当時からあったにも関わらず、SNBのジョルダン総裁はスイスフランがあまりに高くなりすぎないようにできる限りの防衛手段を取ると繰り返し主張してきました。
結局、彼らはフランを売り続け巨額の海外通貨をかわりに買い入れざるを得なかったわけですが、これはSNBのバランスシートにとってなにもいいことがありませんでした。
したがって今回のショックについて完全にスイスを恨むわけにもいかず、状況を考えると不可避的な措置であったと言えます。
3. FXブローカーの受難
スイスフランショックがFXの小売産業を整理することになるのは明らかです。
LeapRateは最悪ともいえるショックの余波、英国でのAlpariの破産やFXCMが推定2.25億ドルものマイナスを抱え込むことになり、結果的に自己資産要求を満たせず違反となったことなどを報じました。
しかしながらその他のブローカー、たとえばIronFXは今回のショックによる影響は厳格なリスクマネージメントのためほぼないとコメントし、IGグループは昨日の巨額の損失に苦しむFXブローカーの買収に乗り出そうとしています。
4-スイス国立銀行のさらなる介入
SNBはさらなる介入がいまだ可能であることを示唆し、投資家の心を弄んでいます。
公式発表によると、SNBは引き続きスイスフランのレートを監視し、金融政策の状況に影響を与られるようFX市場で活動するであろうことを指摘してます。
一部のアナリストはこれをSNBがスイスフランを過小評価にとどめておくための非伝統的な方法を模索する意味にとりましたが、SNBはスイス経済はすでにスイスフラン安から恩恵を受けていると述べており、多くの人々は中央銀行はより小さなスケールで交換レートレベルを管理するための介入を続けるのであろうと考えています。
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